eBay.ai 推奨返信機能

プロジェクトの概要

買い手は購入前に質問するものですが、eBayではメッセージの4通に1通以上が未返答のままで、返信の遅れはコンバージョン率の11ポイント低下につながっていました。そこでeBay.ai Suggested Repliesを提案し、エンドツーエンドで主導しました。出品情報をもとにAIが返信案を作成し、セラーが内容を確認して送信する仕組みです。この機能は主導したMessages戦略におけるAIの柱となり、そのUXパターンは現在、eBayのMessagesにおけるAI標準となっています。

業界・領域

対話型AI

マーケットプレイス

提供サービス

構想の提案からエンドツーエンドでのリードまでを担当しました

AIインタラクションパターン

構想からローンチまで

年

2024–2025

課題

初期のデザインでは、eBay.aiがチャット内で定型的な質問に直接回答する形にし、AIによる回答である旨を明記していました。社内テストやユーザーリサーチを実施したところ、反応は二分しました。買い手は問題ないと捉えた一方、売り手はAIのミスが自身の責任と見なされることを懸念したのです。経営陣からは売り手の事前確認を必須とすべきだという意見が上がり、リサーチ結果を踏まえて私もその判断に賛同しました。 また、モデル自体も学習途上にありました。最初のベータ版の精度は約60%、回答生成には12 secondsかかっていました。そこでバージョンを重ねるごとに売り手のコントロール性を高め、パブリックなスレッドへの直接投稿から、売り手本人にのみ表示されるプライベートな下書きへと変更しました。あわせて将来的な展開としてオプトインによる自動返信機能も設計しましたが、初回リリースには含めていません。

デザインへのアプローチ

AIが会話へどのように介入すべきかを設計し、標準仕様として確立しました。eBayのデザインシステムを担うOXチームやプロダクトパートナーとの度重なるレビューを経て、ひとつのパターンへと昇華させています。具体的には、出品情報に基づいた正確な回答であること、信頼性チェックを通過した場合にのみ提示すること、「Generated by eBay.ai」と明記すること、そして閲覧できるのは出品者のみとし、「Edit & Send」「Dismiss」または機能オフによって出品者自身が最終決定権を持つ設計です。このパターンは現在、eBayのPlaybookに正式に組み込まれています。 さらにマーケティングチームとも連携し、「常に出品者が主導権を握れる」というこの約束をアプリ外にも展開しました。出品者向けメール、Seller Centerのガイド、そしてeBay Helpに至るまで一貫した体験を提供しています。

成果

eBay.ai Suggested Replies は、170名以上の社内利用から、米国、英国、ドイツ、オーストラリアの出品者へと展開を拡大しました。正式リリースに向けては、オーストラリアでのベータ版から得た2つの学びを活かしています。1つ目は、オプトイン率がわずか14%にとどまっていたため、出品者の目に自然と留まる導線上で機能を訴求したことです。2つ目は、提案の多くが使われていなかったため、「Use」を「Edit & Send」へと名称変更し、すぐに編集できる下書き状態で提示するようにした点です。現在、出品者による提案の利用数は月間300万回を超えています。この取り組みを振り返ると、自律性の設計はモデルの性能ではなくプロダクトとしての意思決定だと実感します。モデルが可能性を規定し、AIがいつ動作し、誰が主導権を握るかをデザインが決定づけるのです。

次なる体験を創造します。

現在は次のキャリアとして、AIや対話型プロダクトのデザインリードを務める機会を探しています。

次なる体験を創造します。

現在は次のキャリアとして、AIや対話型プロダクトのデザインリードを務める機会を探しています。