オファーに関するインサイト
プロジェクトの概要
eBayでは買い手と売り手が対話を通じて交渉を行いますが、従来のオファーは単なる数字の提示にとどまっていました。メッセージを添える買い手は7%未満で、オファーの成約率もわずか30%でした。リードデザイナーとしてオファー機能をMessagesへと統合し、現在ではeBayの主要な全市場で展開されています。さらに、文脈の共有が合意形成を後押しするかを検証し、プロダクトパートナーとともに、eBayが価格に関して伝えるべきこと・伝えるべきではないことについてのビジョンを策定・牽引しました。
業界・領域
マーケットプレイス
コマース
価格交渉
提供サービス
単独のデザイナーとしてリリースまで担当しました
実験計画・検証設計
PMとのビジョン策定
年
2025–2026


課題
本来、価格交渉は対話の中で行われるものですが、従来のeBayではオファーが単なる「フォーム送信」として扱われていました。買い手は金額を提示して離脱し、売り手は回答のためにチャット画面を離れる必要があったのです。専任デザイナーとして、交渉プロセスのすべてをスレッド内に統合。インラインでのオファー提示、承諾・カウンターオファー・辞退の即時対応、そして売り手からの要望が最も多かったオファー履歴の全表示を実現しました。2025年8月に米国でリリース後、12月までにドイツ、オーストラリア、英国、フランス、イタリア、スペインなどへ展開を拡大しました。


デザインへのアプローチ
次に、コンテキストの提示が結果にどう影響するかを検証しました。セラーに過去の購入実績を伝える小さなラベル「Repeat Buyer」は、A/Bテストで米国のオファー承諾率を3.3%向上させました。初期のコンセプトではこれを発展させ、「お得なオファーです」といったガイダンスカードを検討しましたが、これらはプロダクト側が一方的に価格の妥当性を判断する形になっていました。そこでプロダクトパートナーと協働し、客観的な証拠に基づくビジョンを主導しました。同種商品の成約価格、販売数、直近のオファーといった実績データを買い手・売り手双方に提示し、Accept、Counter、Declineの選択肢を同等に配置しました。データが不十分な場合は価格の提示を控え、履歴のみを残す設計にしています。


成果
Offers in Messagesは現在、世界中で展開されています。Messages経由で出品者から送信されたオファーによるGMVは前年比78%増を記録し、調査対象ユーザーの79%から満足度を得ています。また、テスト段階のRepeat Buyer機能により、米国でのオファー承諾率が3.3%向上しました。一方、Offer Insightsはサンプルデータを用いた未リリースのコンセプトですが、「価格を提案するマーケットプレイスは決して中立ではあり得ない。だからこそ、その影響力を可視化し、最終的な判断は対話する当事者に委ねるべきだ」という確固たる信念に基づいて設計されています。